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数分後。
「……えっと、あなたが子亀を助けてくださった天使さんですか?」
「ええ。私が天使です」
目の前にいるのは乙姫。この竜宮城の主だそうです。
とてもキレイな人ですけど、私には叶いませんね。
まあ、着ている服はとてもきれいですし、その服が一番似合うのは乙姫さんでしょうね。
そこは認めてあげましょう。
「あの、1つお聞きしたのですが」
「なんですか?」
「なんでリュウグウノツカイと喧嘩を……?」
「ちょっと魔が差しまして……」
流石に水中では分が悪すぎましたね。
今度は空中で勝負したいところです。
「まあいいでしょう。幸い、リュウグウノツカイにはケガはないでようですから」
それから、私は子亀さんを助けたお礼として、三日三晩ごちそうを頂きました。
新鮮な海の幸は大変おいしく、魚の踊りも歌も楽しくて、時間はあっという間に過ぎていきました。
ですが、私には使命があるのです。
これぐらいでドロンしないといけません。
「あの、使命とはなんなんですか?」
あら?
珍しく乙姫さんが声を掛けて来ました。
「私は天界に戻るため、1年間で100個の善行を積まないといけないんです」
「1年間で、ですか……」
あ、乙姫さんの頬がヒクついてしますね。
何か悪い事でもあったんでしょうか?
ん?
何か箱を持ってきましたね。
「この玉手箱を持ち帰ってください」
「中々高価そうな箱ですね。中には何が入っているんですか?」
軽く揺らしても、何も音がしませんね。
かなり軽いですし、本当に中身が入っていますか?
「絶対に開けてはなりません」
「え? じゃあ、なんで渡してきたんですか? 意地悪ですか?」
「では、お返しください」
ちょっと待ってっ!
「私、一度もらったものは返さない主義なんです」
「……まあいいでしょう」
それから、私は亀さんの背中に乗って地上に戻りました。
子亀さんも一緒です。
しばらく経って。
地上に戻ってこれました。
ああ、久しぶりの青空。
海の中もキレイですけど、こっちの方が落ち着きますね。
――って。
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