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目を開くと、どこまでも続く青空。
雲はほとんどなくて、まるでキャンバスに青色の絵具を叩きつけたよう。
今日はとっても清々しい陽気です。
本当は静かな草原でお昼寝でもしたい気分。ですが、私には重大な使命があるのです。
申し遅れました。
私は天使と申します。
以後、お見知りおきを。
皆さんは『天使』と聞いて、どういう姿を思い浮かべますか?
可憐な少女で、背中に真っ白い羽を生やしている、とてもうつくしい姿でしょうか。
実際、私はそのイメージ通りです。
いえ、それ以上と言っても過言ではないでしょう。
私の美貌は天界の中でも随一。
天界ミスコンがあったら、連続優勝の上で殿堂入りになってしまうことでしょう。
さて、皆さんは次にこう疑問に思うことでしょう。
そんな私がなぜ、こんな土煙まみれの下界に降りてきたのか、と。
それには聞くも涙、話すも涙のドラマがあるのです。
……ですが、今語るのは止めておきましょう。
ミステリアスな美少女ほどモテるものなのです。
それでは、今日も今日とて善行を積み上げていきましょう。
そこらへんに楽に解決できそうな事件は――っと。
あら? 海岸に人が集まっていますね。
少し悲鳴が聞こえますし、困りごとかもしれません。早速降りてみましょう。
……いえ、ちょっと待ってください。普通に降りるのではつまらなくないですか?
ああ、私のトゥルットゥルッな珠肌が言っています。
地味に降りてはいけません、と。
よし、ちょっとだけ奇跡を使いましょう。
奇跡を使うと神聖さが減ってしまうのですが、これは必要経費です。
よし!
周囲には大量のキラキラエフェクト。
ああ、美しい。
これぞ天使。
これぞ私。
世界の中心 イズ 私……ではなくて、神様ですね。失敬失敬。
今から天使が地上に降りてあげましょう。
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