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旭陽side
久しぶりに会った甥っ子は
可愛いくて可愛いくて
思いっきり抱き締めた
もう大学生なんだから
こんなのやめてよとか言われるかな?って
時々、雪君の顔見ると
全然嫌そうじゃなくて
頑張ってたよって
偉いでしょ?って言ってるかの様で
いっぱいいっぱい
抱き締めて、撫でてあげた
しばらくそうして、雪君を堪能…
じゃなくて
可愛いがってあげて
体を離す
「雪君、熱は下がったの?風邪治った?」
「はい。今日はもう、熱出てないです」
「でも、ちょっとまだ声掠れてるね。喉痛くない?」
「痛くないです」
あれ?
なんか…雪君の頬に…
え?
なんか…傷?!
「雪君!なんか…これ…傷?!こんなとこ怪我したの?!」
「あ…ちょっと…喧嘩に巻き込まれたって言うか…」
「えっ?!あと…どこか怪我したの?!」
雪君の可愛い顔に…
なんて事…
「あとは、ちょっと口ん中切っただけだったので、もう治りました」
「ほんとに?友達の喧嘩?知らない人?」
「えっと…知り合い…だけど…もう会う事ないんで…」
「そっか…可哀想に……痛かったでしょ?」
「そんなに…それより旭陽さん、こっち来ちゃって大丈夫なんですか?」
「多分、大丈夫じゃないけど…大丈夫な日は来なさそうだから、来ちゃった」
「え…」
びっくりした
顔…
自分で傷つけたのかと思った
「雪君、寝ててもいいよ?俺が来るって聞いて起きちゃった?」
「いえ…」
「30分前に連絡して来るって、よく考えたら、ちょっと早過ぎだよね?もう少しゆっくり来れば良かったね…ごめんね?」
「え?30分前……いえ…全然…」
?
雪君が、チラリと夏君の方を見る
「旭陽さん、こっち来て座って下さい」
夏君が、ちょっと引きつった笑顔で、ダイニングテーブルの方を指す
何かあったのかな?
「旭陽さん、何飲みますか?」
「あ、さっきコンビニで買って来たの、適当に飲むよ」
「すいません…ありがとうございます…」
夏君が、雪君の方をチラリと見ると
雪君が、ちょっと不貞腐れた様な顔をしている
可愛い…
「あの…何かあったのかな?」
「あ…すいません。気にしないで下さい」
夏君が答えると、雪君が、ぷいっと夏君と反対方向を向いた
ぷいってした
可愛い過ぎる
「雪君、白峰さんと会って、どうだった?」
「あ……良かった…です」
「そっか」
「えっと…なんか、ずっと母さんの事…思ってくれてたみたいで…それで…俺の事も…凄く大切に思ってくれてて…なんか…父さんがどんなか知らないけど……なんか…凄く安心したって言うか……」
凄いな
あれだけ自分の顔、打ち付けてたのに
そんな風に思えるものなんだな
「姉さんも、ずっとずっと白峰さんの事、思ってたよ」
「はい…よく聞いてました。でも…母さんも旭陽さんも、俺に気を遣って言ってたのかなとか…思ってたんですけど…」
「ほんとに、凄く好きだったんだよ。だから、雪君…白峰さんによく似てて、姉さん喜んでたよ?」
「…そっちが正解だったんだって…ようやく思えました。でも…やっぱり自分では、あんまり似てるとは思わないです」
「そうなの?」
俺も、ちゃんと見た事ないけど
姉さん…雪君が、どんどん似てくるの~
って、嬉しそうに話してたんだけどな
「旭陽さん、旭陽さん。そっくりです。雪の兄ちゃん居たのかと思いました」
「え?そんなに?」
「雪をちょっと成長させただけです」
「へぇ~…」
雪君と、言ってる事だいぶ違うけど…
「そんなに似てないよ」
「本人は気付かないんだよ。初めて会った時、すげぇビックリしたんだから」
「あ…そう言えば、美月も白峰さん見て、親戚?って言ってたな」
みづき…
女の子の名前?
そんな気軽に下の名前で呼ぶと言う事は…
「誰だって?」
夏君が聞く
「あ…俺の…」
それは…
「彼女?!」
「え?」
雪君が、びっくりしてこっち見る
「みづきさんって、雪君の彼女?」
「えっ…か…彼女じゃないです!」
「へぇ~…雪、彼女居たんだぁ」
「い…居る訳ないだろ!」
え?
「なんで、居る訳ないの?」
「えっ?!」
「雪君、大学生だし、絶対モテるでしょ?彼女が居ても、全然おかしくないよ?」
「い…いや…」
「ふ~ん…雪の彼女、みづきって言うんだ。初耳~」
「だ…だから違うってば!友達!バイトの友達!男!」
なんか、必死…
そこまで否定しなくたっていいのに
小さな頃を知ってる親戚に、そういうの知られたくないのかな
俺も、姉さんに聞かれるの照れ臭かったもんな
「その子じゃなくても、雪君、好きな人居るの?」
「えっ?!…すっ…好きな人……」
うわぁ…
雪君が、真っ赤っかだぁ
可愛い~
「ふっ…居るんだね?良かった」
「~~~~っ…」
「その…ちょっと心配だったから…うちの親のせいで、人が嫌いになっちゃったんじゃないかなって……」
「あ……嫌いって言うか…なんか…どうでもいいとか…思ってたんですけど…」
「…その人が…変えてくれたんだ?」
雪君が、どんどんちっちゃく、真っ赤になってく
そっか
姉さんは、これが見たくて、いつも俺に…
「ふっ…ごめん。叔父さんに話したい話じゃなかったね?」
「~~っ…その人が……泣くから…どうでもいいじゃ、済ませなくなっちゃって…」
「うん…きっと姉さん、喜んでるよ」
そういうの…とか…
きっと小さな1つ1つの事が、積み重なって
少しずつ、雪君を変えてったんだろな
ふと見ると
夏君が、凄く嬉しそうに雪君の事見てる
1番近くで見ててくれたもんね
きっと…沢山大変な事あったのに
ずっと傍に居てくれたから…
「夏君、ありがとう」
「……えっ?!」
「えっ?!なっ……えっ?!」
?
夏君に、改めてありがとうって伝えたら
夏君は驚き
雪君は、なんか…焦り始めた
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