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葉山side
「雪君……俺の…子供じゃ…ないんですか?」
「……え?いえ…こんなに似てるのに、父親は白峰さん以外あり得ませんよ?」
あり得ない白峰の質問に
ぽかんとした顔の旭陽が答えた
「ぶっ…ぶはっ!…ぶはっはっはっ…ひ~っ…おまっ…お前っ……よくその顔して…くっくっくっ…自分の子供じゃないとか…言えたもんだな…くっくっくっ…お前の顔取って付けただけじゃねぇか…くっくっくっ…」
何処に疑う余地があんだよ?
鏡の前で2人並んでみろ!
「だ…だって…自分じゃ、そこまで似てるって思わないもん…」
「そうなんですね…俺も、夏君には聞いてましたけど、似てるって言うか…雪君をそのまま成長させた様にしか、見えません」
「そっ…そうですか」
この人、めっちゃいい人!
雪を見て来て、白峰目の前にして、普通に答えてる
無理!
「くっくっくっ…おかしっ…腹いてぇ…お前以外の誰が居るよ?お前の顔でしかねぇだろが…くっくっくっ…」
「はぁ~…びっくりした…でも…じゃあ、旭陽さんが言ってた話は…」
あ、そうだった
なんで、白峰に謝ったんだ?
「……雪君を妊娠したのは、予想外じゃなく…姉さんの計画なんです。白峰さんは…姉さんに騙されただけなんです。ほんとに…すいませんでした」
なんと…
白峰、10代にしてハニートラップに…
「……計画…真優…子供欲しかった…って事?」
「はい…言葉を選ばずに言うと…姉さんは、自分の目的の為に…白峰さんを騙して利用したんです…すいませんでした」
すげぇな
女…怖っ…
「………じゃあ…じゃあ真優…俺との子供欲しくて…それで…」
「はい。多分ピルとか…言ってたと思うんですけど……そんなの飲んでなかったそうです」
怖っ!
好きな子に、ピル飲んでるって言われたら、やっちゃうわ
そんなん、やっちゃうわ!
「じゃあ…真優が進みたかった道…進めたって事?」
「……俺には…考えられないですけど…あの家を出たがってたんです。でも…気持ちは分かるから…」
「すげぇ金持ちなんすよね?そこまでして、出たかったんですか?」
俺が、そう聞くと
少し寂しそうな表情で、旭陽が話し出した
「うち…変わってるので……特に高校入ってからは、姉さん…母さんに食事会とか…よく連れてかれる様になって…」
「へぇ…高校生から大変なんすね」
そういうのが、嫌だったのか?
「食事会とは…名ばかりで…簡単な見合いみたいなものです」
「見合い?!高校生で?!」
「すぐにではなくとも、うちの親としては、少しでも今後の会社の為になる人を、必要な時に選べる候補は、多ければ多いだけいいですから…天海と血縁関係になりたい人達なんて、数え切れない程いますし…」
気の毒~
楽しくもない見合い三昧
そりゃ、家出したくなるわ
ん?
白峰と付き合いながらも、見合いしてたって事か
うわぁ…
白峰とのデートじゃなく見合い………
あれ?
「なんで、怒ってくれないの?って…」
あれ?
「1回だって、会えなくなるの寂しいでしょ?こんなに続けて会えなくなって、なんで怒ってくれないの?彩雪は寂しくないの?って…」
「ああ!!……あっ…悪い」
「どうしたの…葉山…」
「いや、白峰が言ってた事思い出してさ。真優さんに、なんで怒ってくれないの?って怒られたって言ってたろ?」
「うん…?」
「あれ!デートのドタキャンの理由!その、お見合いもどきだろ!」
「……あ…そうなのかな」
リアクション薄っ!
他の男との見合いで、デートドタキャンされた挙げ句、なんで怒んないだ?って怒られたんだぞ?
「そうだと思います…姉さん…相当白峰さんの事好きだったから…勝手な言い分ですけど……多分、怒って欲しかったんだと思います」
「確かに、勝手な言い分だよなぁ」
「葉山っ…」
「いえ…ほんとに、白峰さんに関しては…勝手な言い分しかありません。文句言われても…訴えられたって仕方ないくらいです」
まあなぁ…
それで、白峰ずっと責任感じて生きてきたもんなぁ
「真優の言った事が嘘だったとして、それを信じると決めたのは、俺です。それに、物事に100%はありませんから、どんな経緯であれ、子供ができた時点で、俺には責任があります」
「白峰さん…」
高校卒業する位で?
そんな風に思えるもん?
少しずつ父親になってくって言ったけど
子供ができた時点で…
なんかそういう…親としての責任みたいのって
ちゃんと考えれるもんなのな
「それより……それよりも……真優の人生を大きく変えてしまったと思ってたから…それなのに、不安な時も辛い時も、何も出来なかったと思ってたから…」
「姉さん…どうしても白峰さん以外となんて、結婚したくないって言ってました。でも、このままじゃ、どんな方法で、どんな人と結婚させられるか分からないからって。そんなの絶対嫌だからって…」
どんな方法って?
知りたくもないな
「~~っ…良かった……真優が…したい事、手伝えてたなら…っ…ほんとに…俺との子供欲しいって…思ってくれてたんなら……~~っ…良かった…」
「白峰さん以外なんて無理だって…でも、白峰さんのこれからを奪えないって。せめて、白峰さんの子供欲しかったんだって、言ってました」
その歳で、それを決断して実行するって
真優さん…
すげぇ人だな
「~~っ…でもっ…喜んでくれたんなら……やっぱり…一緒に喜びたかった……真優と一緒に…~~っ…真優っ…~~っ…」
「白峰…」
普通に考えたら、あり得ない
パニックだ
けど、お互い好きで、結婚なんてものを考えられる2人だったとしたら
物凄く感動のシーンだ
「姉さん…自分のせいで、白峰さんが何を言われたのか、聞いて来いって言ったんです…白峰さん……姉さんが悪いのに、1度もそんな事言わず…言い訳もせず……ただ、謝って…何度も何度も…姉さんに会いたいって……すいません…っ…すいませんでした…」
「だって…真優が悪いだなんて思った事…1度もない…ただ…真優に会いたくて…~~っ…真優の…傍に居てあげたかった…」
もしも、こうだったら…
ってのが、何個か重なってたら、白峰と真優さんは、笑えてたのかもしれない
けど…
そんな事出来る状況になれるなら
子供つくろうなんて思ってなかったかもな
そしたら、雪は産まれてなくて
夏も雪に出逢えてない
人の運命って
すげぇんだな…
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