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「これは誰ですか?」
見知らぬ高校生の所に連れて行かれた私は、天使にたずねた。
「息子さんです」
「息子は6歳です」
「説明するのを忘れていました。
天界と人間界では時間の流れが違っていて、貴女が目覚めるまでの間に10年の月日が経っています」
「では、目の前にいるのは16歳の息子ですか?」
「そうです」
登校中の高校生の男の子は、息子に似ていると言えば似ているし、似ていないと言えば似ていない。
「それでは、適当な時間になったら迎えにきますので、今日いち日、息子さんの守護天使としてお過ごしください」
適当な時間とは何時なのか?
だいたいの目安でも良いので聞こうと思ったら、天使は消えてしまった。
仕方がないので、おそらく息子であろう人物を眺めていることにした。
しばらくして、息子かもしれない男の子が歩いていく先で、おばあちゃんと通行人の肩がぶつかって、おばあちゃんが倒れてしまった。
「大丈夫ですか?」
と駆け寄る、多分だけど息子の声を聞いて、この子は本当の息子だと確信した。
声だけじゃない。
お年寄りに優しい所も、息子だ。
足が痛いと言うおばあちゃんを、息子はひょいっとおんぶしてあげる。
いつの間にか、こんなに逞しくなって。
おばあちゃんの住んでいる所を聞くと、息子は家まで送り届けてあげた。
そしてその後、ダッシュで高校に向かった。
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