私は守護天使

2/5
前へ
/5ページ
次へ
「これは誰ですか?」 見知らぬ高校生の所に連れて行かれた私は、天使にたずねた。 「息子さんです」 「息子は6歳です」 「説明するのを忘れていました。 天界と人間界では時間の流れが違っていて、貴女が目覚めるまでの間に10年の月日が経っています」 「では、目の前にいるのは16歳の息子ですか?」 「そうです」 登校中の高校生の男の子は、息子に似ていると言えば似ているし、似ていないと言えば似ていない。 「それでは、適当な時間になったら迎えにきますので、今日いち日、息子さんの守護天使としてお過ごしください」 適当な時間とは何時なのか? だいたいの目安でも良いので聞こうと思ったら、天使は消えてしまった。 仕方がないので、おそらく息子であろう人物を眺めていることにした。 しばらくして、息子かもしれない男の子が歩いていく先で、おばあちゃんと通行人の肩がぶつかって、おばあちゃんが倒れてしまった。 「大丈夫ですか?」 と駆け寄る、多分だけど息子の声を聞いて、この子は本当の息子だと確信した。 声だけじゃない。 お年寄りに優しい所も、息子だ。 足が痛いと言うおばあちゃんを、息子はひょいっとおんぶしてあげる。 いつの間にか、こんなに逞しくなって。 おばあちゃんの住んでいる所を聞くと、息子は家まで送り届けてあげた。 そしてその後、ダッシュで高校に向かった。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加