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けれど、どうしましょう。この調子では、またどこか遠くへ流されてしまうかもしれません。しょんぼりとうなだれてしまったクリオネに、そっとホッケが手を差し伸べます。
「天使のように優しいクリオネくん。きみが良ければ、今日はおれの背中に乗って行きなさい」
「いいの? ありがとう! ホッケさんも優しいひとだから、天使なのかもしれないね」
「よせやい、おれには勿体ない言葉だぜ」
ひょいとクリオネを背に乗せて、ホッケはゆっくりと泳ぎ始めました。
寒い寒い北の海に、温かい心の生き物達が住んでいました。すいすいと水の中を泳ぎながら、二匹は流氷の影に消えて行きます。
今日はお手柄だったね、クリオネくん。
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