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「んだと、てめえ!」
ヴィッツがすぐに拳を振りあげ、怒鳴った。
「おやめなさい、ヴィッツちゃん」
すかさず天使長はヴィッツを制止し、
「この子たちは、天使見習いなんですよ。まあ、修行中の身ですね。破天荒なところはありますが、いずれ立派な天使になりますよ」
穏やかさの中に力強さを見いだす声であった。
この天使長にもかつてヴィッツたちのように、やさぐれていた時期が存在していたのだろうか。想像もできないが。まあ、大して興味はないけど。
ただ、いずれにしても僕が死んでしまったのは手違いなのには代わりない。
「ま、なにはともあれ、僕がそちらの不手際で、天国に連れてこられたのは事実。然るべき対応はしていただけますよね」
「ええ、もちろんですわ」
危篤だった僕は奇跡的に助かる。きっとそんな道筋が用意されていたのだろう。それがこのヴィッツのせいで予定が狂ったというわけだ。
得心する僕に、天使長は優しく告げた。
「地獄へお連れいたしますね」
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