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カトリエルが私の行き先が天界であることを告げると、ここまで連れてきてくれた天使は驚いて身を仰け反らせた。
「本当ですか!? じゃあこの子が……新しい仲間ということですね」
「そうなるわ。現世で清く真っ直ぐに生きてきた子。神様のご指示よ」
「え、ちょっ、何の話ですか?」
カトリエルが私の横にすっと降り立った。もう本当に、神話の天使のそれと相違ない厳かな動きで。
「あなたはね、人ではなく、これから天使として、天界で暮らすのよ」
そう発すると、カトリエルは私の頭を撫でた。そして次に私の背中、肩甲骨のあたりを撫でた。どこかむずむずして痒かった。
「さあ、こちらですよ」
カトリエルが再び翼を羽ばたかせて浮かび上がった。案内してくれた天使も、同じように浮かび上がる。私は「こちらですって言われてもな」と不満を感じたが、気がつくと二人と同じ高さまで浮かび上がっていた。
「あれ?」
首を曲げて自分の背を見ると、どうやら私にも翼が生えていることが分かった。私の背中から生えた羽が肩の先で羽音を響かせている。
「ええ!? なにこれ!?」
「天使たる証拠よ。ついて来て、天界に案内するわ」
私は二人の天使の後を追うように浮かび上がると、無数の人が寝そべる講堂を真下に見ながら、白く輝いた上空へと飛んで行く。
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