ドントクライ・マイベイビィ

tears.one

俺は生まれてこのかた、涙を流したことがない。

一度も、だ。

嘘みたいに思われるかもしれないけれど、生憎本当のことなのだ。

記憶にある限り。

どれだけ悲しくたって、悔しくたって、痛くたって。
どれほど眉間に皺を寄せて顔を顰めてみても、このふたつの瞳から、水滴の粒が零れ落ちることは一度もなかったのだ。

俺の体には、もしかして“泣く”という機能が備わっていないのかと思えるほどに。

ああ。いや、“じゃあ産まれたての赤ちゃんの時は？”だなんて聞かないでくれよ？

そんな野暮なことはさ……。