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「……わかりました。あっ、あたし……舌をちろちろ出して、無口な方がよろしいでしょうかね? ……見ての通り、この地には滅多に人間という人間が足を踏み入れません。ですので……嬉しくて……ついつい、喋りすぎてしまうんですわ〜」
透き通るかのような女性のすまなそうな顔に僕はさらにドキドキした。
「い、いえいえ、いいえ……お話してください。その方が……僕は嬉しいですし、き、気持ちもほぐれます……よ、吉耶さんは、それでいいと思います……それが僕は、いいです、すきです……」
自分の口から出た言葉ながら、僕は赤面していた。
「…………フフフフフ。……フフフ、お母さんの気持ち、いまわかったかも。……いいものですねぇ、人間の殿方って……。それでは……藤本さま、こちらへ……あたしへ続いてくださいませぇ……要所、要所をご説明しましょう。その後は……藤本さまのお好きに……ご覧くださいませ〜……フフフフフ……」
水の流れみたいな声を放った彼女は僕の手を取り、しっとりと微笑んだ。
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