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「……ああ〜……いまは、そう言われているんですかぁ。……ええ、そうです。……にょろにょろしてると、時が経つのを忘れてしまいます。あたしはここの神社を護ってる……というか、この一帯を管理している吉耶ですわ。……父と母……二人の名から、一文字ずつ取って、この名をあたしへ付けたんですって。……よろしければ、ご案内しましょうか? ……この内部って広いんですよぅ。細長い身体でも、それはわかりますの。けどぉ……ここを探し当てられて、ほんに幸運でしたね。……この近辺は水源地が多くてぇ。あたしら、蛇は水の神、水神ですから。……ただ、人間の場合はちょっと間違うと、谷底に落っこちて、行方不明者の仲間入り、しちゃいますよ〜」
吉耶と名乗った……妙に人懐っこく、饒舌な女性に僕は惹かれた。
……出会ったばかりの相手へ恋をするだなんて……。
そんなことはこれまで、なかったのに……。
「……あ、あぁ、はい……それはそう……その通りです。……じゃあ……お、お願いしてもよろしいでしょうか……初めて、来たもので……僕は……何もわからなくて……お、お願い、いたします……」
鼓動の高まりを隠そうと、僕は頭を下げて頼み込んだ。
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