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「あれー?今日もママの弁当か。
見た目がいい子ちゃんの弁当は見た目もお洒落だな。」
「いい子ちゃんて言うなよ。」
「え、だって副会長様はいい子ちゃんだろ?なに?実は悪い子ちゃんなの?」
今日もこうして僕に話しかけてくる。あれから学校内で顔を見かけると寄ってきては話しかけられる。
やめてくれよ。友だちだと思われちゃうじゃん…。
「なんでそんなに僕に構うんだよ。」
「な 何でって?お前、面白いから。」
ニヤッと笑うその顔が恐ろしいほどカッコいいなんて思ってる僕はやっぱりちょっとおかしいんだろうか。
樋山は確かにカッコいい。男の僕からみても男っぽくて野生的で、心を弄ばれそうなその独特な雰囲気がなぜか惹き付けられるほど魅力的だ。
見た目はあんな風に少し不良っぽいけど、別に犯罪紛いの事をするわけではない。
ただ、見た目とあのやる気のない雰囲気と時々校則違反をする事。タバコも吸ってるみたいだし学校もよく休む。だから学校ではなんとなく不良という立ち位置だ。
先生にも平気で逆らって楯突く。まあ、間違った事を言ってる訳じゃない。でもバカみたいに反抗するからバカだよなって思う。
だけど実はそれが時々羨ましいなんて心のどこかで思ってる。
僕だって本当は先生の言う理不尽な事に彼みたいに言い返したくなる事だってあるし、彼のように自由に生きられたらどんなにいいだろうって思う。
あんな風に自分の意見を大人に対してガツンと言えるあの強さが実は凄く羨ましい。
ずっと大人の顔色を見て生きてきた。親にも先生にも逆らわずいい子を演じて生きてきた。それが正しいと思っていたし、よく見られたかったから。
いい子の被り物を被って生きてきた僕はただの意気地無しだ。
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