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授刀
人間は好き勝手に異界の扉「ゲート」から現れた生物を分類しては命名していた。
大小様々な異界の生物は敵意を満ちている人間へ自分たちの種族や名前をわざわざ教える、といったことはなかった。
フェアリーとグレムリンが飛び回って、遊んでいる。
ゴブリンが湖で釣りをしている。
リザードマンが飛龍の身体を水で洗ってあげている。
近くで眠るグリフォンに寄りかかり、楽器を鳴らしていたアガリアは小さな木製の箱を取り出した。
「……ルーンちゃんにコレ、あげちゃウ」
ジークルーン「んんんーー?? これは……??」
アガリア「四つに分けられた属性のちからを封じた結晶ヨ」
ジークルーン「けっしょう??」
アガリア「そ、そ、そーヨ」
旅人だった彼女は「……おじいちゃんのところに行きたくなったらサ、森に住んでるみんなに聞いてごらン。……ウフフ、アナタはアナタが望んだ通りの人なのヨ。おぼえておいて、ルーンちゃん。……誰もが進みたい方向へと、道は続いているものだからネ……」と、ジークルーンへ言い残し、飛龍の背に乗って島を去って行った。
後日、ヘンなおじいちゃんに会いに行ったジークルーンはアガリアのことを伝えた。
「……ほほう。アガがのぉ。……あいつ、ワシには何も言わんで行ったのか……」
「で……わたしにこれ、くれたんです……」
「……コイツは珍しいのぅ。今では滅多に見られぬ品じゃ。……ファファファ、良いものをもらったの」
「……あの……それって、なにに使うんですか? 宝石じゃないんですか?」
「……これか? これはな、どんなものにも宿っとる四大元素を象徴しとるんじゃよ」
「…………へぇ〜〜〜」
未来の目標とする人物・アガリアが去ってから、ジークルーンはリョクゼリアの深山に生きる老師より、その地に古来より伝わる技を教わった。
生まれもっての才能か、彼女はその八種、すべてを会得することができた。
ある日、老師は蔵を開き、何本もある武器の中からひとつを手に取った。
「んーんーんー。……お前さんには、これがよかろう」
「???」
「お前さんが生まれ持っておる属性と一致しとるからのぅ」
この際に皆伝の証として、ジークルーンは東国で造られた名刀「四季の鬼」の一振りである「冬鬼」を老師より授刀される。
そして、彼女は父親たちとアカルファンまで戻ることとなった。
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