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※三万字ぐらいの中編です。
2日ぐらいで完結したいと思っています。
——殺される!
アレクシアがギュッと目を閉じたつぎの瞬間だった。
だれかに腕をつかまれ、まるで子猫のように軽々と持ち上げられた。
「えっ?」
びっくりして目を開くと、そこに見えたのは驚くほど整った顔立ちの騎士⋯⋯。
しかもその騎士と一緒に馬に乗っているではないか!?
騎士のたくましい腕が、薄汚れた灰色のフロックコートを着たアレクシアを、しっかりと支えている。
——このお方は、だれ⋯⋯?
美貌の騎士は漆黒のベルベットのマントを羽織っていた。金色の髪は冬の太陽にキラキラと眩しく光り、少しだけ乱れた前髪が額にふわりと落ちている。
男らしい眉にまっすぐな鼻筋、そして切れ長の目元⋯⋯。
瞳は吸い込まれてしまいそうなほど美しいコバルトブルーだ。
「ここが戦場だと知らぬのか?」
美貌の騎士は、真っ直ぐにアレクシアを見つめながら、低く男らしい声で聞いた。
「あ、あの、⋯⋯道を間違えてしまいました」
街にたどり着くと思って歩いていたら戦場に来てしまったのだ。
「——そなた何者だ?」
騎士はアレクシアの服に視線を走らせる。
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