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部屋の中は、なかなかのカオスだった。
某日本人メジャーリーガーのいる野球チームの真っ赤なTシャツを着て卓球のラケットを持ち素振りをしている、赤毛のツインテールの少女と思しき人物がいる時点で、どうかと思うのだが
ソファーには人間よろしくふてぶてしく座っている目つき鋭いぶち猫が鎮座坐しており
パピヨンっぽい耳の大きな真っ白い小型犬が事務テーブルの上にお座りして、固定電話機を睨み付けている。
…。なんだろう。不安と不信感しかない気がするのは、あたしだけ?
そんな翼の様子にも、もちろんこの状況も意に介さず、
先ほどの人物が名刺を出し、流れるような所作で、差し出した。
「改めまして萬屋天地へようこそ。
わたくし、担当させていただきます
天野津 海と申します。
よろしくお願い致します。」
「あ、ありがとうございます。
白井 翼、です。こちらこそよろしくお願いしますっ。
すみません、あの、名刺とかなくて…。」
「あぁ、お気になさらず。
白井、翼、さん。ですね。」
至って普通の自己紹介を繰り広げる。
…状況以外は。
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