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「キリギリス」
草むら響く声
静かな夜に
キリギリスが奏でる歌
秋の夜長に広がっていく
夏の日々を惜しむように
その羽根を震わせ歌う姿
小さな命の短さを
知っているかのように熱く
月明かりが照らす
草陰の小さなステージで
彼の歌は風に乗り
遠くまで、夜の物語を紡ぐ
冬の足音が近づいても
その声は止まることなく
一日を生き抜く喜びを
すべての歌に注ぐ
キリギリス
君の歌に
耳を傾ける者は少なくとも
その響きは確かに届いている
秋の夜空のどこかに
きっと
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