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―「あ!危ない!明日花!」
「え?」
大内組のことを考えていた私は、ついうっかり1人の世界に入ってしまっていて…麗ちゃんの言葉で我に還った。
が、反応した時には既に遅く…。
私は誰かの背中に突っ込んでしまっていた。
「きゃ…っ」
―ドサッ!
―『つ…っ!痛ってぇ…。』
「…え?」
ふと我に還ると、何故か私のお尻辺りがじんわりと温かくて。
下を見ると、爽やかな赤い茶髪の男の人が寝ていた。
…正確には私に踏まれていた。
「あ…っご、ごめんなさい!お、重かったですよね?本当にごめんなさい!」
私は立ち上がるとその男の人に深々と頭を下げた。
すると何故か頭を撫でられていて。
「…?」
『もう、頭上げろよ。』
男の人は土を払いつつ、立ち上がって言った。
「…ごめんなさい。」
『…謝んなって。俺は何ともねーし。…お前、名前は?』
男の人は優しく笑って聞いた。
「あ、榊 明日花です。」
内心、男の人の優しい笑顔にドキドキしながら答えた。
『そ。榊…明日花。…いい名前だな。…俺は、大内 翔。…今度からは前向いて、気をつけて歩けよ。』
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