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 過保護で、なんでかわからないけど鷹哉に夢中な善が。聞いてしまったらもう戻れない気がして、結局理由も聞けなかった。  やりたいことに全力で付き合ってくれるところとか、繋がれる手のあたたかさも好きだった。だけど、自分でそれを強く振り払ったのだ。  悲しくて、何よりも自分自身の不甲斐なさが腹立たしくて、熱い感情が目元にせり上がってくる。シャワーの水と一緒に、排水溝へと流れていく。  失ったものの大きさを知って、鷹哉はもう一度身体を震わせた。  食欲がなく身体はだるいしで、家に帰ってからもずっと寝ていた。風邪を引いたのかもと考えたけど、自分のことなんてどうでも良くて何をする気にもなれない。  いつの間にかバイトの時間になっていて、慌てて重い身体を引きずってバーへ向かうも、顔を見た瞬間マスターに追い返された。  早くからカウンターに居座っていた常連のジュンもぎょっとした顔で二度見してくる。 「うわっ。ゾンビかと思った!」 「たぁくん大丈夫!? 病気!?」 「いや……生きてるし……」 「いやいや、声からして覇気ないし。白いを通り越して青いから! あと透けてる!」 「透けてないし……」 「はいはい、体調不良者は帰ってなー!」 「え……おじちゃん家まで送ろうか?」  大きな声にガンガンと頭が痛む。言われてみれば確かに、自分でもこんな人に接客されたくはないと気づいた。  渡されたマスクを素直に受け取って、ふらふらと二人に背を向ける。 「彼氏はどうしてるんだ? こんなたぁくん、放っておく人じゃないっしょ」 「あいつとは終わった」 「「え……?」」 「じゃ、おつです」 「え……ほんとに?」 「まじかー……」  まだ背後で喋ってるのが聞こえたけど、そのまま店を出る。重いため息をつくと、ケホッと咳が出た。
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