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「たぁくん、孤高のおネコさま業再開したってほんと?」
「やめてください仕事みたいに言うのは。でも……まぁ、そうなるかな」
「はぁ〜〜〜っ」
鷹哉が肯定すると、質問したジュンはなんとも言えない複雑な表情に顔をしかめ、マスターは鷹哉にまで聞こえるように大きなため息をついた。
マスターはなぜだか納得いってないみたいだが、文句があるならはっきり言ってほしい。
とはいえ、店で相手を見つけるのはもうやめにした方がいいかもしれない。常連には手を出さないようにしているものの、何かあったときに店に押しかけられると困るし……。
風邪から復帰して以降、どうも気乗りしなくていまだに相手を探せないでいる。このままではまずい。
(今日はバイト上がったら、別のバーで引っ掛けるか……)
「ミステリアスな美人さんだね。君はバイトかな?」
深夜帯が近づいてきて、このあとの予定を考えていたときだった。
二回りは上に見えるおじさんが、カウンターの端から話しかけてくる。さっきまでは一緒に来た人とテーブル席で飲んでいたが、ひとりだけこっちに移動してきたみたいだ。
「バイトっす。おかわりはいかがですか? それ、ウイスキーですよね」
「いや、いいよ。こっちが立たなくなったら困るからね。もったいないだろう? 私は君よりだいぶ歳上だけど、夜には自信があるんだ」
自意識過剰な発言にちょっと眉をひそめる。下ネタは日常茶飯事だけど、この男は視線がギラギラとしていて否が応でも目的が見える。ジュンとの会話が聞こえていたとか?
「あははー、そうなんですね。すごいなぁ」
「どうだね? 一度試してみないかい」
「すみません。今日はちょっと……予定があって」
今日も来週もこいつは無理。つーかここではもう探さないんだってば。だれか拡散してくださいお願いします。
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