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でも、宝石みたいな瞳から出る視線は好意的ではない。
「このまま息絶えると思ったが、案外しぶとい」
声はざらついているが甘い。
でも、意地の悪いトーンだ。
「私……」
起き上がろうと身体に力を入れてみるが、
「動かんだろう?」
頷くこともできない。
「呪いがかかっている」
呪い??
どうしてそんなものが。
「知らん」
表情を読み取ったのだろう。
突き放すように言われた。
「どこから来た?お前、異国の者だろう?ここは、ルーセン。わかるか、ル・ー・セ・ン・国だ」
聞いたことのない国名だった。
なのにアズもさっきの子供も日本語を喋っている。
もしかして……?
私が、こっちの国の言葉を喋っている??
海外に出向いた覚えはない。
日本にいて、どこからかの帰り道だった。
制御しきれない怒りを私は抱えていて……。
そこから、記憶は飛んで、気がついたら聞いたことのない国へ。
まさか、異世界転生?
アニメのおすすめ出てきたけれど。
っていうことは、私、どこかで死んだ?
ますます身体が重くなった。
「う、うっ」
「呪いが全身に回りつつある。解呪しなければ、死ぬぞ」
「助、け……て。お願い!助けて!」
口が上手く動かない。数分もしないうちに、何も喋れなくなる予感がした。
「お前を助けて、俺に何の得がある?」
「……何でも……します」
困ったようなため息の後、アズの手が、ブランケットの中に入っていく。
温かい手が肌に触れる。
警戒した私の眼球が忙しなく動き、身体がさらに硬直した。
「俺が脱がしたわけじゃない。森にいた時から素っ裸だった。泣きながら吠えていた」
手が胸の先をかすり、へそに触れ、下半身のくぼみを撫でてつま先まで。
不思議なことに少し身体が楽になった気がする。
同じ動作を繰り返しながら、アズが唸る。
「うん?」
鎖骨から、つま先まで何かを集めては、床にゴトゴトと落としている。
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