恋愛レッスン1

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 それが遠くまで転がってようやく全容が分かった。  尖った金平糖みたいな黒いガラスのようなものだった。 「これは呪詛だ。お前の体内にあった」 「じゅ、そ?」 「呪詛師のくせに白々しい。呪い作りに失敗して自家中毒になったんだろう?こっちは魔導師だ。ごまかせん」  ブランケットの中から手が抜かれた。 「これで、起き上がれるか?」  背中に手を添えられて起こされ、枕を背中に当てられる。  胸が顕になりブランケットを摘んで引っ張り上げようとしたが、鉄みたいに重かった。 「なぜ、解呪されない?」  アズにそう聞かれても、こっちは魔法のことなど解らない。 「おい。それ」  指さされたその先は左胸で、黒点が渦巻いていた。それがどんどん大きくなっていく。 「嫌っ」 「騒ぐな」  諌めたアズが、急に胸を鷲掴みにしてきた。  柔らかな乳房が彼の大きな手に包まれ、指の隙間から肉が少し盛り上がる。  黒い渦が身体から引き抜かれた。  それは黒い金平糖みたいになり棘を持ち始める。 「お前、呪詛師のくせに呪詛を止められんのか?」 「意味が……」 「呪詛を覚える際、魔導を一部でも齧ったろうが」 「私は学生っ。ただのっ」  さっき取り出したはずなのに、胸にはまた黒い渦。 「キリがないな」  身体には痺れが発生しはじめていた。 「他に、方法は?」 「お前が呪詛を完全に止める。早い話が、恨みの元を断つ」 「恨み?そんなの……」 「無いのか、あるのか?」  途切れた記憶の断片がひらり。 38f65f46-a3dd-44e1-bc69-1b9f05250bf0  外苑前のカフェで自分は携帯を見つめている。  連絡がないか何度も何度も確かめて。 「すっぽかされた。男の子との約束」  マッチングアプリで相手のページを確かめようとしたら、ブロックされていたのだ。  その瞬間、心が砕けたのだった。  アズが目を丸くしている。  そんな理由でと思っているのかもしれない。このド級のイケメンは。  でも、意外な答えが待っていた。
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