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やっぱり異世界転生しちゃったんだ。
ううん、死んでないらいしから、召喚?
「ここは、私にとって異世界なんだと思う」
アズは呆れ顔。
「異世界だと?」
「貴方、さっき、私のことを呪詛師と言ったけれど、それはありえない。私が住んでた世界に魔法は無いから。普通の人間しかいない」
「面白い」
「ホラ話や嘘じゃ無いの。信じて」
「お前の言うことが本当だとしたら、異世界召喚術が使える者がルーセンにいるということになる」
「その人に会えない?」
「異世界召喚術は禁忌術。伝説でしか無いから、誰もやろうとしなかったそれを復活させた奴はきっとろくでもない奴だぞ。ん?お前におかしな呪いをかけたのも。もしやそいつ?」
「どうして?私はただの学生で」
アズがブランケットを捲り上げ、隣に滑り込んでくる。
「え?」
「お前が寝ているのは、俺のベットだ。もう、身体は動くな?端に行け」
やはり身体が大きい。
百八十センチは軽く超えていると思う。
さっき、上に乗られた時、本当に押しつぶされてしまいそうだった。
彼はごろりとリコに背中を向けた。
「元の世界に戻る前に、解呪の方法を探らなければな」
「あの……私、いていいの?」
「行くところが無いだろうが。あったとしても、夜が明けてからにしろ」
「ううん、無い」
「じゃあ、寝ろ」
アズがブランケットから手を出し、床に向ける。
蝋燭が次々と消えていって部屋は薄暗くなった。
明かりは窓からの月明かりだけだ。
部屋の気温は低い。
季節は春先、もしくは秋ぐらいだろうか。
ルーセンという魔法が存在する国に、四季があればの話だが。
リコは、ブランケットの下で手足をこすり合わせる。
「寒いか?」
「全然」
「意地張り女。襲ったりせん。暖炉を付けるか?」
「大丈夫」
この家は裕福とは言えなさそうだった。
もしここが、木がふんだんに生えない地帯だったら、薪一本だって大事だろう。
「なら、股の間に足を突っ込め」
「股?!股ってそんな」
「じゃあ、震えて寝ろ」
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