神泡と天使

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d339dc66-f6ab-4192-9eca-cfecd45bbc17  海辺に注ぐ日差しは暑かった。ホテルの室から見下ろすと白い砂浜と紺碧の海、専用ビーチの緑の芝生が広がっていた。「この景色は綺麗だけど何か色が足りないよな。」と、ふと昔学んだ色相の三原色を頭に思い浮かべた。「確かYMCだったっけ。イエロー・マゼンタ・シアンか……青と赤はあるけど、そう言えば黄色の彩りが足りないよな。」  匠は冷蔵庫からビールを取り出しグラスに注いで窓辺のテーブルに置いた。黄色い液体が景色の中に溶け込んで完璧な三原色になったと自己満足していた。グラスの中の小さな泡が天空に昇っていく。小さな天使が集まってグラスの上で白い雲を作る。「白い雲これが神泡という奴かな。細かい神泡の定義なんてどうでも良い。」と思いながら2杯目をグラスに注いだ。  心地良い睡魔が誘い空白の時が流れた。見下ろした海辺は少し赤くなり、グラスの中の天使と神様は消えていた。午後の至福の時間が流れて消えた。 <終>
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