ママカースト

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ママカースト

「母さん、早くして!!園バスに送れる!!」 毎日7時45分に幼稚園バスがマンションの前に止まる。 「理翔、ちょっと待って!!まだ、お弁当、包めてない!!」 朝の6時から格闘して作ったピ○チュウのオムライス弁当。 週1のお弁当作りだから、かなり拘ってしまう。 「バスに遅れた方がみんなに迷惑をかけるでしょ!!」 しっかりし過ぎてる3歳児。 この歳の子は、『ママー、行きたくない!!』って母親から離れたがらない子が多いはずなのに、理翔は自分で起きて服を着替えて、私を起こしにくる。 私が起きない時は炊飯器のご飯か食パン焼いて、冷蔵庫の中に作り置きしてるおかずで勝手に食べてくれるし、時には自分でお弁当を詰めて用意してくれる。 「おはようございます。バス、遅れててよかっ」 3分遅れたけど、まだバスは到着していない。 「母さん、5分前には降りないといけないよ」 「……ごめんなさい」 築3年のタワマン低層階。 2LDKの中古物件を購入し、息子の理翔と2人暮らしをしてる。 マンション内に同じ園に通ってる子が6人いる。 28階4LDKにお住まいの久保さん。 17階3LDKにお住まいの植野さん。 12階3LDKにお住まいの杉山さん。 そして、私、7階在住、水沢彩音。 ママカーストなんて都市伝説でドラマの中だけの話だと思ってた。 それが私が住んでいるマンションにはあるみたい。 挨拶は返してくれるけど、話の中に入れないし、いつも仲間はずれされてる。
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