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「親のいいなりになってたまるかよ!!
あんたら、俺のことなんか知りもしないだろ!」
息子の豊作(ほうさく)が怒鳴った。
そして木製のテーブルの両角を掴んで横倒しにして、そのまま自室へと
駆けこんで、激しい音を立ててドアを閉めた。
妻の志津里(しずり)は、椅子に座ったまま静かに涙を流している。
私は驚いた弾みで転倒したあと、ゆっくりと立ち上がった。
そして志津里の目の前にティッシュを差し出して、割れた湯呑み茶碗と
急須を片付け始めた。
「やれやれ、17裁iにして遅い反抗期かねぇ?
それにしても夕飯後だったのは不幸中の幸いだったよ。
今夜は、ご馳走だらけだったんだから」
豊作は幼少時から、遠縁の家の世話になっている。
久しぶりの帰省が嬉しくて、志津里は張り切って料理をつくり、盛った皿も
多めだった。
しかも田舎の村ならではの差し入れもあり、余った豚バラ肉や畑で
採れた野菜、そんなありがたい物もあったのだ。
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