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「サットンの父親さん、初めましてーっ真乃って言いまーす」
あるとき、豊作とのネット通話に1人が追加された。
「ま、まの?」
「あ、名前の漢字が難しいんで、チャット蘭に書きますわ」
戸惑う私に、キツネを連想させる顔の青年が名前を書いた。
『真乃纏(まの まとい)』と、読むのだと。
「実は、エキストラ時代に真乃と知り合って仲良くなってさ。
今回の映画にしても、真乃と監督が出会ったのがきっかけで、
俺にも話しが舞い込んできたんだ。運命をつないでくれた相手だよ」
豊作に言われて真乃という子がピースサインをしている。
「もうね、サットン大好き!イエライちゃんにも会わせてくれたし!」
「イエライちゃんに?あのアイドルで演技も上手い子だろ、
すごいな、私だって会ってみたいよ」
「おっ、父親さん、わかってるじゃん」
「まあ、親バカっていうのかな?
豊作の出る作品は脇役でも何でも観ているうちに、詳しくなったよ」
「うんうん、有り有り」
「君、元気だねえ」
「元気、元気。生きてると大変だけどさ、おもしれえこともあるよな」
それは。
とても納得できる言葉だった。
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