マシュマロおじさんを育ててはいけません。

4/4
前へ
/4ページ
次へ
目が覚めた。 夢?夢か。焦ったー。 そうだよ、俺は100均で、『マシュマロおじさん』なんていう種は買ってきていない。 「住吉起きた。」 「あ、おはよう。」 教室。授業を聞きながら寝ていたのだ。 生物の授業。先生はまんまるのマシュマロみたいな白髪のおじさん。 「ーーー種の中には遺伝子があって…。」 何か焦げ臭い匂いがする。 先生が動くと白い煙の線が動いて見えた。 ん?なんだ? もとを辿って先生の黒いズボンをじっと見る。 お尻の辺りが少し焦げている。 あっと、思った。 1番前の席の水の入ったペットボトルが虫眼鏡になってズボンに太陽の光が集まっているのだ。 『マシュマロおじさん』が焼けてしまう。 窓の外、俺が育てているゴーヤの葉っぱが揺れて日の光を遮った。 「おー、住吉起きたか。じゃんけんしよう。お前が勝ったら」 「え?」 「寝ていたことは見逃してやる。」 俺が買った種はゴーヤの種だ。 『マシュマロおじさん』が焼けずに済んだ。 〈了〉
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加