ひとさしゆび

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お風呂あがり、冷たい麦茶を飲もうと台所に行くと、母が何やら料理の下ごしらえをしていた。 「何?明日の下ごしらえ?」 冷蔵庫を開けながら母に聞くと 「そう、綾の好きなナスの揚げ浸し」 「おぅ、サンキュー!」 「いつまで居られるの?」 「うん、ゆっくりしてたいけど明日終がわって明後日には戻ろうかと思ってる。お義母さんはもう少し居られると思うけど…私は仕事があるし」 「そう…仕事ねぇ」 母は手を休めず顔も向けず小さい声で返して来た。 もしかしたら気付いている? 「あっ!そうだ。今度チケット送るから東京見物にでも来なよ、案内するよ」 今度は手を止めこっちを見て 「わかった!じゃあ皆で行くわ!」 えっ皆で…。私は頭の中で電卓を弾いてた。 「だってあんた稼ぎいいんでしょ?お義母さんが言ってたよ『楽させてもらってる』って」 「いやいや、助けてもらってるからせめてもだよ」 「だね!」
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