ひとさしゆび

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モモは車から降りると『あちゅいあちゅい」と言いながら帽子を被り、私の人差し指をつかんだ。 少し傾いている帽子を直してあげ「モモはキーが見たいの?」と聞くとにっこり笑い、歩き出した。 またご機嫌に東京を出る時に歌っていた何だかわからない歌を歌っている。 あちらでは車の音でかきけされて聞こえなかった歌も、ここは静かな田舎、それも墓地ならモモの下手な歌もよく聞こえる。 「ちゃなばたしゃらしゃら……」 私は思わず足を止めた、モモが驚いて私をみてる。 ……夫と最後に会ったのは七夕の日…… ただの偶然!その時モモはお腹の中! そう思い直しまた歩きはじめた。 「モモ、着いたよ。キー見ようか」
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