ひとさしゆび

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地方の小さな飛行場から電車を乗り継ぎタクシーで海が見える丘の上の墓地に着いた。 娘のモモは移動疲れで少し不機嫌そうだ。荷物を肩にかけ少し重くなった娘をかかえ車を降りた。 「モモ、着いたから歩いて」 娘を下ろし人差し指を差し出した。 当たり前の様にそれを握りしめ目をしばしばさせながら歩くモモと一緒に夫が眠る墓石に向かった。 私と夫が産まれ育った小さな田舎町の日差しは、澄んだ空気をそのまま通り肌につき刺さる。 入口で汲んだ水を墓石にかけるも、さぁっと音が聞こえるかの早さで乾いていく。 「石さんがあついあつい言ってるね」モモを見ると不思議そうな顔をしていた。 無理もない、2歳の子にわかるわけないかと頭をなでた。 「モモ、ママを見てて」 夫の前にしゃがみ手をあわせ目を瞑った。挨拶を済ませ目を開けた。 「はい、モモもしてみよっか」 合わせた小さな手は少しずれてるけど目をぎゅっとつぶって上手に真似が出来ている。 「はい、良くできましたぁ~。モモ、あそこ行ってみよう!海がみえるよ」 私の人差し指を自から掴み歩きだし、海が見える位置に立つ。
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