ひとさしゆび

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長旅で疲れたモモは実家に着く頃には深い眠りに入っていた。 車のエンジン音を聞き付け、玄関から飛び出て来た母と父と義姉に声を出さずに「ただいま」と言い、腕の中で寝るモモの顔を見せた。 両親は私には見せた事もない優しい顔で嬉しそうに覗き込み、声を出さずに 「大きくなったね」と…。 そして義姉は小さい声で 「こうなるだろうと思って綾ちゃんが使ってた部屋、涼しくして布団敷いてあるから」と教えてくれた。 モモを布団に寝かせリビングに行くと母が「まだ夕飯には早いから綾もすこしやすんでれば?」と言ってくれたので、部屋に戻り壁にもたれて目を瞑った。 「この匂い…」 あの日の事が鮮明に甦った……。
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