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最後のお別れも言えず、骨壺に入った夫を受け取りこの家に着いた。
夫の実家ではなく私の実家にしてくれたのは私がどれだけ消沈しているかを思い計った義母の思いやりだった。
幼なじみの夫の母は小さい頃から一緒に育ててくれたもう1人の母の様な
存在だった。
白い箱を抱いた私を迎えてくれたのは、節目がちな目をした父と、泣き腫らした目をした母、家に入るとテーブルに項垂れた兄とその横に立ち泣き堪える義姉。
奥の座敷に気丈な義母が、背筋をしゃんと伸ばししっかりとした口調で「おかえり」と迎え入れてくれた。
「お義母さん、ごめんなさい。30分だけこの人と2人になっていい?」
黙って頷く義母に頭を下げこの部屋に入った。
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