ひとさしゆび

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あの日を思い出しながらいつの間にか眠っていたのか、目を覚ますとももは布団にいなかった。 リビングから賑やかな声が聞こえてる。 「ごめんなさい、すっかり眠っちゃっていたみたい」 「そうみたいだね、ママ、ママって声がするから覗いたらモモが起きてたからお菓子で釣って連れて来た」 と言う義姉にお礼を言って甥っ子姪っ子と楽しそうに遊ぶモモを見ていた。 「さぁご飯だよ~っ!」母が呼ぶ。 久しぶりに大勢で食べるご飯。 モモは甥っ子と姪っ子の間に座って食べ散らかしてる。 それをまだ小学3年の姪っ子が「モモちゃん駄目でしょ?」と言ってお姉さんぶっているのを見た母が言った。 「あらら、ついこの前までモモと変わらなかったのに、いつの間に…」 皆それを聞いて笑ってる。 私はその光景を見て、姪っ子が産まれた時を思い出してしまった。それはまだ私と夫が社会人になったばかりの頃、お祝いに来てくれた夫が姪を覚束ない手で抱きながら 「可愛いなぁ、こんなに可愛いなら、自分の子だったらどうなっちゃうんだろ俺」 と目を細めて姪を見つめる夫の顔が思い出される。 私はそれをかきけす様に 「モモ、遊んでないでちゃんと食べなさい」と泣きたくなる気持ちを誤魔化した。
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