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今日は日曜日だ。
会社に「今日も休みます」の電話をしなくてもいい。
狭い部屋の中でじゃれ合って、仲良く遊ぶユニオとあっくんに、私は声をかけた。
「お外、行ってみよっか」
ユニオはまたすぐに大きくなり、あっという間に3歳ぐらいになっていた。もう、じゅうぶんにお外で遊べる。
この子のかわいさを自慢したくて、子連れの家族の多く集まる公園へ、私は連れて出かけた。
玄関を出る時に隣のおばさんと出くわした。私はユニオと一緒に挨拶したが、怪訝そうな目で見られた。
「あんたの部屋から赤ん坊の泣き声、してなかった? ……その子どもは、誰?」
私は笑顔で答えた。
「大きくなったんです」
ユニくんの服は途中で買った。
あっくんとユニオが芝生の上を追いかけっこするのを、幸福に目尻を下がらせながら、私は眺めた。
あっくんは笑いながら四本足をピンピン伸ばして走り、ユニくんも四本の手足ぜんぶを使って犬を追いまわす。
どう見てもユニくんのほうが速いけど、手を抜いてあげているようだ。
ユニオはまるで、白い神馬のように優雅に、しかし子どもらしく駆けた。
よその家族と友達になった。
っていうかそのあまりのかわいさに、ユニくんはみんなの人気者になった。
私は少し不安だった。
しかし角が生えていることに、誰も触れない。
彼らには見えていないようだった。
よそのお母さんがたまらなさそうに、ユニくんの頭を撫でると、その手が角をすり抜けた。
帰りにスーパーへ寄った。
「わあっ! ここ、何? 食べ物いっぱい!」
ユニくんがはしゃいで駆け回るのを止めさせ、釘を刺した。
「いい? お金払わないと食べられないの。勝手にそのへんのもの食べちゃダメよ?」
言うことは聞いてもらえなかった。
目を離すと消えていて、探すと精肉売場で見つかった。
レバーのパックを勝手に開けて、美味しそうに生で食べている。
「だめーーっ!」
血の滴る口元で振り向いたユニくんはかわいかったけど、叱るしかなかった。
「お金払わないとダメって言ったでしょ? それにレバーは生で食べちゃダメなのっ!」
ユニくんはレバーが大好物のようだ。
仕方なく食べてしまったものをそのままレジに持って行った。
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