金が必要に

1/10
前へ
/16ページ
次へ

金が必要に

「保…愛している…」 佐藤吾作(さとうごさく)先輩が覆い被さる。 先輩の手が、押し倒された俺…千夜保(せんやたもつ)のベルトにのびた。 「止めろ…っ!」 俺は、咄嗟に先輩を殴った。 拳は先輩の左目にヒットし、奴はベルトを外そうとしていた手でおさえ、動きが止まった。 俺は、その隙に先輩の逸物を蹴り上げる。 「うっ…?!た…も…つ…」 先輩が俺の上に倒れ込んでくるのを、俺は両手で押し払い、上体を起こす。 「うう…許さん…許さんぞ…保…」 「ハア…ハア…それは、コッチの台詞だ…」 先輩が起き上がろうとしているのを尻目に、俺はガクガク震える両腕で、何とか体を起こす。 そして、部室の調理器具にぶつかって、それらを落としながら鞄を引っ掴むと、力の入らねー足で逃げ出した。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加