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ひょっとして泥棒か?
俺は物音を立てねーように、ドアを開けっぴろげると、そっと中に入った。
田中に教えてもらったように、目を閉じ、息をゆっくり吐いて、人の気配を探る。
…寝室の方だ。
俺は足音を立てねーように、気配のした方に向かった。
寝室に近付くにつれて、物音が小さく聞こえてくる。
どうやら、ホントに誰か居るらしい。
俺は自分の気配を消すと、そっと寝室のドアに耳を付けた。
「おっ?こんな所に貯金箱がある」
ゲスボの声に、俺は必死に平静を保つ。
おそらく中に居る野郎が見つけたのは、先輩の手術費を貯めた貯金箱だ。
せっかく貯めたのに、取られてたまるか。
だが、中の状況が解らねーと、迂闊に入れねー。
そうこうしてる間にゲスボの声は続く。
「へー。結構、貯まってるな。ゴッソリ持って行くか」
冗談じゃねー…。
せっかくの金を取られてたまるか。
俺がドアノブにそっと手を伸ばしたのと、中の気配が、コッチに急激に近付いて来たのは、同時だった。
仕方ねー。
奇襲を掛ける。
俺はドアが開いた瞬間、担いでいた鞄を、姿を見せた野郎の脳天に、ぶちかました。
鞄の角が野郎の頭に直撃したが、中身が軽かった為、気絶させるところまでは、いかなかった。
「イテッ?!」
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