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「山村…」
「大丈夫?!保!」
山村が俺の元に来る。
俺は思わず山村の小せえ身体を抱き締めた。
あったけー…。
山村の体温を感じて、俺の目から涙がこぼれ落ちる。
「保、何があったの?酷いこと、誰かにされたんだね?悲しい時は、泣いて良いんだよう?」
山村の声が優しくて…俺は奴を抱き締めたまま、嗚咽を洩らし、咽び泣いた。
後から帰って来た鈴木が、嫉妬と同情の交わる複雑な目で、コッチを見てたのも気付かずに。
「直ぐに警察を呼びましょう!」
「救急車も呼んだ方が良いんじゃない?」
鈴木が部屋に入ってきて、俺と山村に伝えた情報は、盗られた物が何かは分からねーが、物色された部屋が幾つかあるという事。
山村は、俺が起き上がれねーのを心配して、提案した。
だが、事が大ごとになると、俺が先輩にしたことも明るみに出る可能性は高い。
強盗の言ってた、山村ん家に危害を加えるような事を言ってたのも心配だ。
「俺なら大丈夫だ…」
「ですが、このままですと、被害が拡大する可能性もあります」
「保ー、先輩にしたことがあるからー?」
山村にズバリ確信をつかれて、俺は押し黙った。
「僕が思うに、千夜くんが理由もなく、先輩の目に危害を加えるとは思えないんです。何かご事情があるなら、警察の方にそれを話してみるのは、如何でしょうか?」
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