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それは、凄く勇気のいることだったが、正当防衛が認められる可能性もある。
確か親父がお袋を殺した組長を殺した時、裁判沙汰にはなったが、正当防衛が認められ、無罪になったと聞いている。
だが…山村ん家は大丈夫なのか?
「千夜くん。山村先輩の玄関には、防犯カメラが設置されています。それに、この騒ぎがご近所に広がるのも時間の問題です。警察と救急車を呼びます。良いですね?」
鈴木の言葉は疑問ではなく、確認だった。
俺は放心したように頷いた。
鈴木が直ぐに携帯を取り出した。
山村ん家と救急車に刑事達が乗っている間、俺は救急隊の許可を得て、事情聴取を受けていた。
鈴木は、緊急事態だからと、俺ん家にも電話を掛けたところまでは知っている。
山村も、両親に連絡し、刑事達の現場検証に立ち合っている。
「怖い目に遭ったね。嫌な事を思い出させるようで悪いけど、2人組の強盗の顔を思い出せる限り話してくれないかな?」
「…刑事さん」
「うん?もう少し落ち着いてからの方がいいかな?」
「俺…人を殴って、失明させたんだ」
刑事の目の色が一瞬、明らかに変わった。
「…よく打ち明けてくれたね。その事は元気になったら、ゆっくりと聞かせてもらうよ。先ずはキミの身体が第一だ」
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