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だが、俺も必死だったから、力の加減までは、してねー。
ひょっとして、俺のせい、か…?
そこまで思い返していると、部長が続ける。
「それでね、左目を失明したらしいんだよ。でも、昨日の部活では、いつも通りだったからねー。1番、仲が良い千夜くんなら、何か知ってるかと思ってね」
部長の言葉に、俺は耳を疑った。
失明…。
それは、先輩が片目が見えなくなったことを意味する。
俺はズルズルと、その場に座り込んだ。
正当防衛の筈が…俺は何てことをしてしまったんだ…。
「千夜くん?千夜くん、どうしたの?」
部長の声が遠く聞こえる。
俺は掠れた声で部長に言った。
「部長…先輩は何て…?」
「千夜くんに、この事を伝えて欲しいって言われたよ。それで、千夜くんなら何か知ってるかと思って、訊いてみたんだー」
部長経由で、知らせようとする先輩の真意は、分からなかった。
只…俺は、この話がホントなら、責任を取らなきゃいけねー。
「部長…先輩の目は、又、見えるようになるのか…?」
「吾作の話によると、眼科では手に負えないって言われたらしくてね。若葉(わかば)大学総合病院で手術を受けなきゃ絶望的らしいよ」
手術…?
俺は下を向いてた顔を上げた。
部長も珍しく難しい顔をしている。
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