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「部長。手術費は幾ら掛かるんだ…?」
「千夜くん?」
「先輩の持ち金じゃ、手術費なんざ払えねーだろ?俺が立て替える」
俺はフラリと立ち上がると、部長の両肩を両手で掴んだ。
部長は、驚いたような表情をしてたが、やがて言った。
「相当な額になるらしいよ。大丈夫?」
「ああ。あてはある」
俺の家業は、極道だ。
俺はパティシエになるという密かな夢があるが、組長の親父が跡を継がせたがってるのは知っている。
その家業の中には、借金取りも含まれている。
今までは、関わってこなかったが、借金を返してくれたら、その内の幾らかを俺の持ち金に出来るかもしれねー。
それを手術代にあてれば…。
俺は、この時、極道の借金取りというものが、どんなものか、まるでわかっていなかった。
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