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放課後。
同じ部員の山村凌(やまむらりょう)が、教室のドアのところに来た。
「保ー♡一緒に部活、行こうよう!」
そんな山村を熱く見つめる鈴木には気付かずに、俺は山村の元に行った。
「山村。俺、部活、辞めることにした」
「えー?!どうして?どうしてえー??」
「山村」
「うん?」
「俺は山村が思っているような奴じゃねー…」
「えっ??」
「じゃあな」
俺は背中に、山村の視線を感じながら、鞄を担いで教室を出た。
「お帰りなさいやせ!坊ちゃん。今日は、お早いお帰りで!」
玄関の引き戸をガラガラと開けると、組員の田中(たなか)が迎えてくれた。
田中は、俺が産まれた頃から居る親父の右腕だ。
俺のことを扱いてくれる、良き理解者といったところか。
「田中。今日は、親父は居るか?」
「はい!いらっしゃいやす。坊ちゃん、頭に何か用事で?」
「ああ。ちっとな。田中、あんたにも関係あることだ」
「あっしも?じゃあ、一緒に頭の居室に行きやしょう。今なら、まだ夕食まで時間がありやす」
俺は部屋着に着替える事もねーまま、親父の部屋へ向かった。
襖を軽くノックすると、中から親父の声が聞こえてきた。
「入れ」
俺は田中を伴い、部屋の中に入った。
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