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第1章 美容師の道を志したのは…
Side of Ruki Satomura
里菜「セルフィが専属美容師を探しているんですって…?」
ちなみに婁貴の母親である里菜の語尾に?が付いている時は聞いている振りをしながらのお願いである。
つまり…
里菜『セルフィの専属美容師に息子の婁貴がなれば鏤埼くんに暇さえあれば逢えるって事だよね?』
心の中では…
そんな事を考えているのが婁貴をこの世に産んだ母親である。
婁貴「まだ41歳なんだからセルフィに嵌まっているより再婚したら?」
婁貴が母親の将来を考えて
そんな発言をしたら…
里菜「鏤埼くんと…?」
推し活と言うのは日常生活に張り合いを齎すだけなら大成功なのだが…日常生活をきちんと過ごせないくらいのめり込む事になれば…
婁貴「鏤埼くんが相手をするはずないでしょう?きちんと自分について考えて貰えますか?」
ちなみに鏤埼は41歳ではあるが、
妻子持ちで妻は有名な俳優である佐藤幸姫。
佐藤幸姫はハリウッド映画でスターとなりセルフィの熱狂的とは言え一ファンに過ぎない里菜とは次元が違う。
里菜「分かっているわよ、どうして婁貴は鏤埼くんと違って冷たいのかしら?まるで…氷みたいに感じる時があるのよね…。」
そんな事を言われると基本的に、
鏤埼くんの何を知ってるのだろうか?とイライラし始めるのだが…イライラしても仕方ないので…そこは我慢。
しかし…
婁貴が美容師の道を志したのは…
何も里菜の為に有名人を綺麗にする事を目的にしていたのではない。
婁貴「どっから来るのかね…。
あの良く分からない自信は…。
我が母ながら…極めて情けない。」
ここは里村 婁貴の仕事場である
大人気サロン・celebration。
靜華「セルフィは今、大人気だから…と、言うより婁貴のお母さんは推し活のし過ぎだよね…」
…
…
…
婁貴「仰る通りで…。ちなみに俺が美容師の道を志したのは…ある女性に…自信を持たせてあげたかったから。」
婁貴が道を決めたきっかけは、
婁貴が中学生の頃に遡るのですが…
重田紗璃
重田紗璃「私は旦那の言いなりになって生きているから自分というものがないの…。」
紗璃は当時15歳だった婁貴より10歳上の女性で夫の重田保は20歳上の45歳で昭和の旦那と呼ばれるくらいの男で…
モラハラ亭主だった…。
重田保「…紗璃!お前は誰のお陰で今を生きているのかな?」
保の大声は隣に住んでいる婁貴の家にまでいつも響き渡り…婁貴はその声を聞く度にやり場のない怒りを抱えるしかなかった。
婁貴「紗璃さん、
あんな事言われて平気なの?」
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