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口に溜めていたイチゴジュースをごくんと呑み込んだ。
「毒をもって毒を制す」
思わず出た言葉は見当外れだった。涙をこぼしながら私は笑った。洋一郎もまた歯を見せて笑った。きれいに揃った白い歯並み。
洋一郎の育ちの良さはいつも私には引け目だった。でも、独りよがりは実は洋一郎を傷つけ遠ざけるだけなのも分かっていた。
そう、私は大概のことは分かっている。分かっているのに、弱さが出てしまう。
「……夫婦になったんだろ。いいんだよ、弱さを見せても」
照れながら向うを向いて洋一郎が言う。
私は甘えていいんだろうか。
そう、とりあえずは明日の朝まで楽しく。
洋一郎のために。
明朝の日の出も、ほおずきのような、でもより輝いたものだった。
くすくすくすくす。
昨日よりも弾んだ鼓動が身内から響いてきた。
了
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