第一章 転生

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 察しが良くて助かるね。そういう人は嫌いじゃないよ。察しが悪い人とか空気が読めない人とか、嫌いとは言わないけど面倒だから。 「なにをゴチャゴチャ言ってやがる! それよりなんだコレは!」 「気にすることはないよ。じゃあ少しだけ我慢してね?君たちが苦しめた人たちに比べたらマシだろうから心配しないで」  ……とは言ったものの、どうしよっかな? どうやって痛めつけるかまでは考えてなかった。考えるの面倒だしここは適当に水魔法でも使う?せっかく水の精霊の好む水場にいるんだしね。 「あァん?なに言ってんだ! こいつがどうなっても良いのか!」  なんかすごい有名……ではないけど悪党に定番のセリフじゃない? でも彼らが捕まえているのはルー。中位精霊を捕まえてどうなっても良いのかって、あの子が精霊だと気付いてないならさすがに馬鹿すぎない? やっぱり頭が弱いんだろうなぁ。武器を持っておくくらいの危機感はあるようで安心したけど、そんなの精霊では相手にならないよ? 「うっさいですね。それはこっちのセリフなんですよ。近づいてくるな、このクソ野郎」  お口が悪すぎるよー。でも気持ちは分かる、よーく分かるけどちょっと抑えようよ。あ、だけど俺の代わりに痛めつけてくれるみたいだね。それなら手間が省けるし良いか。 「……あ? もう一回言ってみろ」 「死ねクソ野郎」  悪化したね。彼らも怒ってるけどこれ、ルーも相当だよ。まあこんな穢れた人たちとずっと同じ空間にいたらそうなるかぁ…… 「死ぬのはテメェだァ! このクソガキがァ!」 「精霊に刃を向けるとか馬鹿ですよね。しかも中位精霊の僕に勝てるわけありませんのに。種族を見分けるくらい出来た方がいいですよ」 「なに言ってやが……な、なんだコレ!」  水魔法で拘束したのか。辛そうな体勢だねぇ。水で出来た鎖のようなものが彼らの動きを封じ、五人とも誰一人として動けなくなった。無様に暴れているのがここからよく見える。せっかくだから俺は、その水で出来た鎖に電流を纏わせることにした。  あれじゃあ痛めつけることは出来ないからね。屈辱的ではあるかもだけどー。 「っぐ、ああああっ」  電流を流すとそれぞれ叫びながら暴れようとする。抗う術もないんだから哀れだよね。もうちょっと強ければ良かったのにね。 「王様、もっとやっちゃえー!」 「やっちゃおっかー?」 「お、おにいちゃん!もうやめてあげて……」  ……セナちゃんは優しい子だね。そんな泣きそうな顔しなくていいのにー。不満は残るけど、こんな奴ら相手にする必要もないか。 「ごめんね? もうやめるから泣かないでくれる?」  どうやら俺は子供に弱いみたいなんだよね。弟を思い出すからかな……セナちゃんもせっかく可愛いんだし、泣いてるより笑っていてほしいかなぁ。 「うん」 「よしよし。じゃあこの人たちは騎士団のところに連れて行くね。ルー、もう拘束を解いて良いから騎士団のところに連れて行ってくれない? ちゃんと証拠もあるから」 「えー……分かりました」 「ありがとう」
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