付き合ってもらえないか クラリッサSide

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 カイル王子は明らかに動揺していた。  顔が赤くなり、視線が私を見つめたかと思うと、パッと上を見上げたり、下を見たり、視線が彷徨った。 「さあ、エミリー、頼みましたよ」  陛下の最後の言葉は実に優しかったと思う。それまで、カイル王子に向けていた表情とは一変していた。  私は少し怖かった。  何が2人の間で会話されたのか、知らない方が良いことだと思った。  国王陛下への挨拶が終わって廊下を歩いていると、パース子爵がやってきた。私をやはり一瞬睨むように見つめた、と思う。  私は小さくため息をついた。 「こちらの方はどなたでしょう?」  パース子爵が表向きはにこやかにカイル王子に尋ねた。 「私の衣装デザイナーです。陛下に報告済みです。今度の社交シーズンの衣装を全てお願いするつもりです」  カイル王子はにこやかに話している。 「パース子爵、こちらがエミリー嬢です。エミリー、こちらがパース子爵です」 「どちらのエミリー嬢でしょう?」    パース子爵が食い下がった。 「ハット子爵家のです。急ぐものですから、失礼。陛下にお願いされたこともございまして」
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