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私は自分で自分を貶めているのだ。
貧しいからといって、太っているからといって、スタイルが悪いからといって、美人でないからといって、親がダメだと後ろ指さされるからといって、私は自分を貶める必要はないのに。
でも、王子が私をまっすぐに見つめる煌めく瞳の前に、自分を晒すことをためらう。後ずさって一目散に逃げたくなる。
愛しているのに。
私は貧しくて太っていて、孤児といわれるメイドだから。
生きていると噂される父は暴力をふるう人らしい。そんな父から祖母は私をさらってきて育ててくれた。その祖母もいない。母ももういない。
イザベルの言うことが全てではないのに、イザベルが私に言ったことが棘のように刺さって取れない。
王子とメイドの私。
全然ダメ。
貧乏というだけで、人間が劣るという考え。その忌まわしい考えがこれほど残酷に突きつけられ、私が染まってしまって、自分を劣った人間で恥ずかしいと感じるとは思わなかった。
私は自分の存在が恥ずかしくて居たたまれない。
貧しいというだけで、これほどの劣等感に苛まされるなんて。
泣けてくる。
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