身分違いの、わたしの恋

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 何も悪いことなどしていないのに、汚いものを見るような目で見られる。私は劣った人間ではないと思うのに、みすぼらしく情けない生き物であるかのような目で見られる。  そう思うと、身が縮むような情けなさを感じてしまう。胸がしめつけられて痛い。  私は、自分で自分をその価値観に染めて、自分を貶めてしまった。    ただ、恋をしただけ。  ただ、憧れただけ。  ただ、気づけば愛してしまっただけなのに。    私が汚れたものであるかのように、私を見る人がいて、その価値観に自分を染めて、私を汚いものであるかのように、錯覚してしまった。  イザベルのせいではない。  自暴自棄になってはならない。  私の恋する気持ちは汚いものではない。  しかし、叶わぬ恋を前にしたと、全て叶わないと思い込んで、王子の愛から逃げる方を選んだ。  私は身分を超えることはできないと自分で自分を縛った。  私は綺麗な存在だったはずなのに。  貧しくても、真っ直ぐに生きるエミリーだったはずなのに。    いつから、逃げなければならないほど惨めなエミリーになり果てたのか、もう自分でも分からない。
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