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「あーっ退屈で死にそうっ!パーッと殺人事件でも起こらないかなあっ!」
おもいきり伸びをして、あたしは不謹慎なことを言ってみた。
友人の奈美(なみ)に「香奈枝(かなえ)シャツから、おへそ見えちゃうよ」
なんて呆れられて、制服のシャツを整え、ブレザーを着直す。
大好物の焼きそばパンを購買で買えて、二個も食べた。
太り気味だけど気にしてない。
平穏な昼休みとはいえ、高二としての受験戦争は足音を絶えず鳴らしている。
「奈美は、どこの大学も余裕だろうけどさあ、あたしはギリギリ、
なんかもう勉強ばっかりで、つまんなくてさあ」
「だからって殺人事件を望むのは人間離れだよ」
奈美が艶のあるツインテールを揺らしながら、パックのカフェオレを
飲み干した。
ヘアゴムの花柄の飾りが、いつ見てもカワイイ。
「奈美~っ!勉強の合間に気分転換できるモノ知らない?」
「この動画とか面白いよ」
「あーダメダメ、スマホから見るの苦手、パソコンから見れるモノ」
「めんどい子だねえ、それならE3ブログ見ればいいんじゃない?
画像やデザインからして凝ってて、スマホで見るよりネット向け」
「そんなのがあるんだあ?」
窓際の席のあたしは窓枠に寄りかかって、スマホから検索してみる。
奈美に「そんなに足を広げない!」とか言われた。
「あ、ホントだ、スマホからは見づらい。帰ってパソコンで見てみる!」
「ちなみにグロ注意だよ。不気味な画像とか投稿してる人も多い」
「さすがは奈美、あたしの好みわかってるね」
「私は苦手で見れないんだけど、お兄ちゃんがハマっててさあ、
自宅のロフトで、なにか育ててるブログに興味あるって言ってた」
「そういえば奈美の兄ちゃん、そっち趣味だよね」
奈美とは高二で同じクラスになってからの親友。
自宅にも遊びにいったことがあるけど、四つ年上の兄は大学生で
実家を出て独り暮らしだそうだ。
聞けば聞くほどホラーやオカルトの好みが似ているので、会ってみたいと
思っている。
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