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雨上がり
激しく降り続いていた雨
雨が止んで
残されている雨の匂い
全ての匂いが雨の匂いに覆われて
あなたがいた事すらも消してしまった
雨に紛れてあなたは長い雨の道だけを残して
私の傍から消えてしまった
雨の道を辿れば
あなたに辿りつけるだろうか
雨の匂いで消えてしまったあなたの匂い
残されているのは雨の道だけ
水たまりに足を入れたら小さな波紋が広がる
この波紋は私の心の愛の魂動のように小さく震える
あなたへと続く雨の道を歩く度に
波紋は広がり続け
そして静かに消えて
また水溜まりに戻る
雨上がり
二人一緒にいたら
この雨の道も楽しく歩いていただろう
雨の匂いに負けずにお互いの香りを感じる事が出来ただろう
こんなに雨上がりが嫌だと思った事はない
あなたの全てを消して
たった一つだけ残す雨の道
水溜まりを辿ってもあなたに本当に辿りつけるのだろうか
先に進む程に小さくなっている雨の道
あなたに辿り着く前に
雨の道は消えてしまっているかもしれない
それでも…
それでもあなたと雨が残した道
辿り着いた先にあなたが居なければ
私は雨上がりの匂いだけを感じ
あなたの全てを忘れよう
それが出来る自信はないけど
選択の余地は…
もう残されていない
雨上がり
二人一緒ならきっと水溜まりの波紋を
何度も何度も見て綺麗だと笑いあえたはず
二人一緒なら雨の匂いも素敵な匂いだと感じたはず
雨上がり
二人と一人
こんなに感じ方が違うんだね
やっぱり一人は嫌…
感じない気持ちを感じてしまう
あなたを愛している気持ちが
雨水に溶けだしてしまって
それが小さな波紋を広げて消えていっているように感じてしまう
凄く…
虚しい…
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